ものづくり文化展について
私たちは、これからのものづくりは生産設備による画一的な「製品」づくりから、繊細な感性を生かした「作品」づくりへ、そして、同じ製品を大量に「製造」する時代から、これまでになかった新しいものを次々と生み出す「創造」へと変わっていくだろうと考えています。
その中心的役割を担うであろう小さなつくり手たちに、発表の場や交流の場を提供し、互いが刺激を受け合ったり、コミュニティーが生まれることを促進させ、さらには、そうしたものづくりに挑戦するつくり手を励まし勇気づけ、また、社会的にも尊敬され憧れられるような存在となるよう支援してまいります。
そのことによって、小さなつくり手たちの強みが生かされ、私たちの社会がより豊かになっていくことを目指します。
全体のスケジュール
募集期間
審査会
結果発表
2020年9月12日(土)ー
2020年12月8日(火)
24:00
2020年12月中旬予定
2021年3月上旬予定
募集対象作品
- メカトロニクス機器を使用している作品
- メカトロニクス機器が内蔵されている工作機械(CNCや3Dプリンター)を使用して製作した作品
- 自作工作機械、及び、各社工作機械の改造例
- 個人または個人事業者の方が製作した作品
※設計図やCADデータのみの投稿はご遠慮ください。
応募方法
下記のものをご準備のうえ、応募フォームよりご応募ください。
応募料:無料
- 作品の説明テキスト
- メイン写真 1枚
- サブ写真 5枚まで
- 作品紹介動画URL
※必須
※必須
※任意
※任意
※画像形式: JPEG、GIF、PNG(1枚あたり3MBあたりが目安です)
※動画を非公開にする場合、閲覧に必要なパスワードも併せて記⼊してください。
※今年度より「メカトロライフ」からの作品募集は受け付けておりませんのでご注意ください。
募集を締め切りました。
審査員紹介

土佐 信道
明和電機 代表取締役社長
芸術ユニット「明和電機」をプロデュース。青い作業服を着用し作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼ぶなど、日本の高度経済成長を支えた中小企業のスタイルで、様々なナンセンスマシーンを開発しライブや展覧会、商品開発など、国内のみならず広く海外でも発表。音符の形の電子楽器「オタマトーン」など制作多数。

中村 一
株式会社オリジナルマインド社長
1997年、オリジナルマインドを創業。創業以来20年間一貫して個人のお客様向けにメカトロニクス関連の部品や組み立てキットを提供し続け、今日に至る。デスクトップ型CNCフライス「KitMillシリーズ」を主力製品とし、最近では卓上折り曲げ機や手動射出成形機など、幅広い製品を次々に生み出し、個人のものづくりの可能性を広げている。
賞の構成
最優秀賞(1点)
賞状/賞金10万円
優秀賞(1点)
賞状/賞金5万円
審査員賞(若干点)
賞状/賞金5万円
入選(若干点)
賞状/賞金1万円
最優秀賞(1点)
賞状/賞金10万円
優秀賞(1点)
賞状/賞金5万円
審査員賞(若干点)
賞状/賞金5万円
入選(若干点)
賞状/賞金1万円
審査員総評

土佐 信道
明和電機 代表取締役社長
新型コロナウィルスの感染拡大は、自粛などの「負」の面が語られがちだが、ことクリエーションに関しては、実はプラス面もある。情報が遮断され、自宅待機により「自分の内面に向かい合う」時間が増え、そしてそれを創作するゆっくりとした時間も手に入った。そうした影響が応募作品に直接むすびついるとは結論できないが、どこかじっくりと創作に取り組んだ作品が多かったように思う。大賞の『Parity Violation 2』などは、まさにそれだ。作者はコロナ禍でなくても、この方法で創作をしていたと思うが、以前ならば「大変な作業ですね。」と効率のまなざしで見過ごしてしまったものが、時代がゆっくりとした時間を手にいれたことで、じっと見つめるようになった。「ものづくり文化展」のようなじっくり系の創作活動には、むしろいい時代になったのでは、と思う。

中村 一
株式会社オリジナルマインド社長
今年のものづくり文化展は、一旦は落ち着いたとみられるコロナの感染者数が、再び増加に向かう中で募集が開始されました。にもかかわらず、たくさんのご応募を頂き、大変感謝いたしております。
私たちは以前から、作品の中に情緒が感じられたり、世界観が感じられたりするものが今後は求められていくのではないかと感じています。単に性能が高い、機能が豊富といったことだけでは、もう人々の心を満たすことはできない時代になってきたからです。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が始まった昨年の3月頃、ドイツ政府が「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要」として大規模支援をしたのが印象的でした。コロナによって、どんよりとした空気感の漂う状況においては、アーティストを大切にし、そうした人々の心を豊かにするものを生み出すことが、さらに大切になっていくのかも知れません。
ものづくり文化展は今回で第10回となるのですが、実は私たちは、この文化展が始まる前の2002年頃から「お客様の作品集」というタイトルで作品を集め、当サイトに掲載させて頂いておりました。その約20年間を振り返ってみますと、以前は、「個人のものづくり」と言えば、仕事とは別にするものであり、趣味の範囲内に留まることがほとんどでした。しかし最近では、「仕事として取り組みたい」という人がかなり増えてきたと感じています。実際、今回応募のあった制作者の多くは、作ったものをネットで販売していたり、美術作家として活躍されていらっしゃいます。私はこれはとても素晴らしいことと思っています。
「好きなことをして生きる」と言われる時代において、自分のつくったものをたくさんの人に向けて広く販売する人が増えれば、これからものづくりを始めようとする人たちにとって大きなモチベーションになりますし、何より、個人や少人数のつくり手のみなさんには、心を豊かにするものをつくるポテンシャルが充分に備わっていると感じています。情緒的な価値は大企業の大量生産よりも、小さなつくり手のほうが生み出しやすいですし、「何をつくるべきか」ではなく「何をつくりたいか」といった内発的な動機付けで、思いっきり尖ったものをつくることができるからです。
そうした小さなつくり手たちの持つ無限のポテンシャルが引き出され、本当に人々の心を豊かにするものを広くたくさんの人に向けて生み出していくこと。今回の選考を通じて、私たちもみなさんと一緒にそれを生み出していきたいとあらためて感じました。