「CONERI」での材料対応可否に関する参考情報

本ページでは、卓上ペレタイザー「CONERI」のご使用に際して、樹脂材料の対応可否や加工性を判断するための参考情報をご紹介しています。

「CONERI」は汎用性の高い構造を備えており、さまざまな熱可塑性樹脂に対応可能ですが、材料の種類や条件によっては押出や切断に支障をきたす場合があります。そこで、結晶性や流動性、材料の形状など、ペレットの加工性に影響を及ぼす要素を項目ごとに整理し、これまでの加工実績をふまえて、注意点や対応限界について解説しています。

「CONERI」での対応可否を左右する主な要素

熱可塑性

もっとも基本的な前提として、「CONERI」で対応可能な材料は「熱可塑性樹脂」に限られます。熱可塑性樹脂は、加熱することで溶け、冷却により再硬化する特性を持った樹脂のことです。したがって、下記のような材料はご使用いただけません。

  • 熱硬化性樹脂(例:エポキシ、フェノールなど)
  • 架橋ゴムや加硫ゴムなど
  • セラミックや金属粉など、樹脂が含まれない材料を固めたペレット

結晶性

熱可塑性樹脂は大きく分けると結晶性樹脂と非晶性樹脂の 2種類があり、「CONERI」では非晶性樹脂の方が扱いやすい傾向にあります。この違いは、変形可能な温度帯の広さに起因するものです。

結晶性樹脂とは、樹脂を構成する分子が規則的に並んで固まる性質をもつ樹脂です。この結晶構造は、ある温度(融点)を超えると一気にほどけるため、氷が水に変わるように状態が急激に変化します。

一方で、非晶性樹脂は分子の鎖が無秩序に絡まりあった状態で固まっており、結晶をほとんどつくりません。そのため、ガラスのように温度が上がるにつれて徐々に軟らかくなる性質があります。この性質ゆえに、非晶性樹脂ではストランドの空冷過程でもゆるやかな変形が可能で、空冷中にストランドが多少ゆがんでも、ローラーの引張力によってまっすぐに補正しやすい傾向があります。

非晶性樹脂の場合

それに対して、結晶性樹脂は融点を境にして急速に固まるため、冷却ムラや左右のファンからの風力によってストランドが一度でも変形するとそのまま固まってしまい、再び直線状にすることが難しいです。ストランドがまっすぐでなければカッター内に通して切断できないため、ペレタイズができない原因となります。

結晶性樹脂の場合

以上の理由から、「CONERI」では非晶性樹脂の方が加工しやすい傾向にあります。ただし、結晶性樹脂でも条件次第で加工は可能で、実際に PP や PE などの結晶性樹脂をスムーズにペレタイズした実績がございます。また、結晶性樹脂に分類される樹脂でも、PET や PLA などの結晶化速度が遅いものは非晶性樹脂に近いふるまいをするため、一概には分類できません。

融点・ガラス転移点

「CONERI」の本体加熱温度は最大 350℃ です。このため、350℃以下で十分に流動しない樹脂には対応できません。

ただし、「CONERI」は樹脂を型に流し込むのではなく、押し出すだけの構造であるため、一般的な成形温度よりも 10〜30℃ 程度低い設定とする場合が多いです。したがって、上限をわずかに超える程度であれば使用可能なケースもあります。また反対に、融点やガラス転移点が極端に低い樹脂はスクリュー供給部で材料が固着し、噛みこみ不良を起こすことがあるため、注意が必要です。

流動性

流動性が極端に低く、スクリューを回すモー ターの出力が不足する材料は押出が困難です。一般的な汎用プラスチックであればほとんど問題なく押出可能ですが、スーパーエンプラや粉体コンパウンドなどの特殊材料については、対応できない場合があります。

目安として、メルトフローレート(MFR)が 10以下の材料は、押出が難しい傾向にあります。ただし、MFR は静的な流動性を示す指標であり、この数値だけで対応可否を判断することはできません。あくまでも参考値としてご参照ください。

フィラーの割合

この項目は上記の「流動性」と密接に関係します。粉体や繊維などの添加物(フィラー)を樹脂に混練する際は、基本的にフィラーの割合が増えるほど流動性が低下し、場合によっては押出不可になることがあります。特に、プラスチックは一般に疎水性を持つため、炭素やガラス繊維などの疎水性フィラーとは比較的なじみやすい一方、親水性フィラーとは混ざりにくく、流動性が悪化しやすいです。

なお、流動性の変化は材料の種類や粒径、界面活性剤の有無などに依存するため、フィラー割合の上限は設けておりません。ご参考として、現在のところ以下のような実績があります。

炭素粉末
最大 50wt% まで押出成功
ジルコニア粉末
10wt% までは安定、20wt% でスクリュー詰まりが発生
石膏粉末
10wt% までは押出可能、20wt% でスクリュー詰まりが発生
木粉(ヒノキ粉)
15wt% まで使用実績あり

硬さ

「CONERI」のペレタイズ機構は、対向する 2枚の鋭利なカッターでストランドを挟み込む構造をしています。この構造によってストランド表面に微細な亀裂を起こし、そこに集中した応力によって亀裂が進展し、切断が行われます。

「CONERI」のペレタイズ機構

このような、亀裂進展方式で切断可能な材料は、ある程度の硬さと脆性をもつものに限られます。したがって、エラストマーのように極端に軟らかい材料はストランドが大きく変形し、カッターから逃げてしまうため切断が困難になります。また同様に、ストランドが十分に冷えずゴム状になっている場合も切断が難しいです。

反対に、材料が硬すぎる場合も切断できないことがありますが、押出温度や冷却量の操作によって切断時の硬さをコントロールできるため、軟らかい材料よりも問題になることは少ないです。また、ガラス繊維などのフィラーが配合されることで全体の硬さが向上し、切断性が改善されることがあります。

冷却性

「硬さ」の項目と関連しますが、材料が冷えやすいほどストランドの切断もしやすい傾向があります。これは、「CONERI」の構造上、短い冷却区間でストランドを十分に冷却する必要があるためです。冷却が不十分な場合、ストランドがローラー部分で潰れてしまったり、軟らかすぎてカッターで切断できなくなったりします。

材料の冷えやすさは主に比熱と熱伝導率によって決まります。比熱は「熱を蓄える量」の指標であり、値が小さいほど素早く温度が低下します。熱伝導率は「熱を外部へ伝える能力」を示すもので、こちらは値が大きいほど冷却に有利です。たとえば、ポリエチレン(PE)は比熱が比較的大きく、熱伝導率も低いため、ペレタイズが難しくなる傾向があります。このような材料を扱う場合は、ノズルの温度をなるべく低く設定しストランドの冷却を補助することで対処します。

吸湿性・揮発性

「CONERI」にはスクリューによる混練途中での脱気機構が備わっていません。そのため、加熱や混練の過程で発生したガスは、樹脂とともに押し出され、ストランド内部に噛み込むことがあります。多少のガス噛み込みであればペレタイズ可能ですが、発泡が激しいとストランドが途中で切れる原因になります。吸湿性の高い材料や、揮発性成分を含む材料を使用する場合は、あらかじめ十分な乾燥や処理を実施してください。

材料の形状

材料の形状によっては、ホッパー内で詰まりが生じ、スクリューまで材料がうまく送り込まれないことがあります。一般的に、ホッパー内での詰まり現象は主に以下の3種類に分類されます。

ブリッジ
材料がアーチ状に引っかかって落ちてこない
ラットホール
中央のみ材料が流れ、周囲が残る
壁面付着
粉体がホッパー壁に張り付き、動かない

たとえば、形がいびつで絡まりやすい材料はブリッジを起こしやすく、粉末系の材料ではラットホールや壁面付着が発生することがあります。

ホッパー内での詰まり現象の種類

「CONERI」には、ホッパーを回転させて材料を攪拌する機構が搭載されているため、こうした詰まりを解消することが可能です。ただし、以下のような形状・特性を持つ材料には注意が必要です。

破砕サイズが大きい材料(目安:各辺 5mm以上)
かさ密度が低いため、スクリュー内が充填不足になりやすいです。

棒状の突起を持つ材料(破砕前のランナー形状など)
材料同士が絡まり、ブリッジを起こしやすいです。

金属に張り付きやすい粉体
スクリューやホッパー内壁に付着し、搬送が阻害されることがあります。