2011年04月28日
若年ものづくり人材育成事業とは
当社から車でおよそ5分。取締役の中村と若手G社員の母校である岡谷工業高等学校では、全国中央会指導のもと、「若年ものづくり人材育成事業」の実習授業が毎年行われている。今回、この授業の教材として当社のCNCが抜擢され、「簡易CNCの製作と製作技術」が実施されることとなった。この実習授業は昨年も行われ、その時は精密な時計の組立を行なったそうだ。時計の組立と言えば地元のセイコーエプソン。そして今年は当社のCNCと、地元企業に関係のある実習授業が行われている。
組み立てるCNCはBLACKII
当社から納めたのは2台のmini-CNC BLACKII 1510。実習を受けるのは8名の生徒さん。それぞれ4人ずつの2チームにわかれて組み立てる。工具は全て校内に揃えられており、実習の準備はいたってスムーズ。さすがは工業高校だ。
まずは組立の注意点について全員で確認。それ以降は生徒さん自ら取扱説明書を読み、確認しながら進めることができた。
組立で最も苦労していたのが「リニアシャフトの取り付け」だ。「リニアシャフトの取り付け」は、BLACKIIを組み立てる際の一番の調整どころ。お客様からも「難しい」という話をお聞きすることがある。作業内容は、2本のスライドシャフトを平行に取り付けるというもの。取り付け位置のずれがあれば、テーブルを動かす際にとてつもない力が必要になる。これをテーブルがスムーズに動くまで調節していくのだ。
ただ、「難しい」といっても根気がいる作業であって、絶対にできないというものではない。何度か繰り返し調節していけば、そのうちスムーズに動作する位置が見つかる。
実習では、各軸の調整は交代して行われた。特に決められた訳ではないのだが、しばらく調整してダメであれば他の人に交代。誰かがうまく調整できるまでローテーション。というように進められた。実習の半分ほどがシャフトの調整で終わってしまったのではないだろうか。もっと簡単に組み立てられるようなやさしい商品にする必要があるのではないだろうか、などと考えていると、先生からこんなコメントをいただいた。「機械の組立にこういった調整が必要になることが分かっていいですね。通常の実習では、調整を体験する機会がほとんどありませんから。」このような点は賛否のわかれるところではあるが、ものづくりの楽しさや勉強として体験していただけたなら光栄だ。
組立はおよそ6~8時間で終わった。1日2時間の授業で、3~4回といったところだ。
操作と切削
次に回路の動作と、機器が正常に組立てられているかを確認した。ここでは予め各種ソフトウェアのインストールや、設定ファイルが用意されていた状態だったので、先ほどとはうって変わって短時間で動作確認が完了した。
動作確認はキーボードを押すだけの簡単な操作だったが、動かした生徒さんからは「お~」という声がもれた。声色こそ落ち着いていたが、生徒さんたちは皆、満面に笑みを浮かべていた。誰にとっても嬉しい、作ったものが動く瞬間だ。
2チームとも動作確認ができたところで行うのは、NCコードの勉強だ。とはいえNCコードについては授業でも学習する。切削用のコードを手打ちし、課題を難なくこなした後は、CADソフト/CAMソフトで切削コードの生成を行なう。
手打ちで作った切削コードとソフトウェアを用いて作った切削コード。比べてみると、ソフトウェアを使用した方が間違いもなく、出力するスピードも段違いだった。ここでも生徒さんからは「お~」という声が。わかりきったことではあるが、実際に体験して比べてみると印象も段違いだ。
各ソフトウェアの使い方を覚えたところで、さっそく切削へ。今回の実習で切削したものはネームプレート。これは岡谷工業高校が文化祭などの出し物として製作しているものだ。これまでは工作室にあるマシニングセンタでしか製作することができなかったものだが、切削対象がプラスチックであることから、BLACKIIでも同じものを製作することができた。
各色がついた薄い板の下に、土台となる白い板がある。色のついた部分を切削し、削り取ることで文字を表現していた。実習でできあがったものはフリーハンドでデザインしたものだが、なかなか見事な仕上がりだ。
BLACKIIは実習終了後、文化祭などで切削を行う際に使用するらしい。また、実習の発表や周辺地域で開催される展示会でも使用し、実際に切削を行うそうだ。マシニングセンターとはちがい、BLACKIIはどこにでも持ち運びができる。 これまでよりずっと多くの方にネームプレートが配られることになりそうだ。
その後
実習は10月で終了したが、2月5日・6日に地元の岡谷市で開催された「ものづくりフェア2010」で使用していただいた。
残念ながらその光景を見ることはできなかったが、実習を行った生徒さんが切削の練習をし、使いこなしてくれているそうだ。一安心であるとともに、今後のさらなる活動を期待したい。
お客様名:長野県岡谷工業高等学校
納入製品:mini-CNC BLACKII 2台
製品の詳細については、下記のページをご覧ください。
mini-CNC BLACKII
<説明書を読みながら組立開始>
最初は目当ての部品を見つけるのも、時間がかかりました。
<リニアシャフトの取り付けに試行錯誤>
グループの中で調節が得意な人が判明しはじめます。
<機械科ではあまり見かけ無い配線作業>
普段やらない配線作業ですが、綺麗に配線することができました。
<PCへ接続し、いよいよ動作確認>
JOGを使って皆1回ずつ動かしてみました。
<ものづくりフェアにて実用>
小学生からお年寄りの方まで、沢山の方がいらっしゃいました。